2016/05/15

お絵描き入門:油彩絵具が一番

仮に、これから絵を描くことを始めたいという方がいて、「どんな画材がいいでしょうか」と相談を受けたとしたら、「油彩絵具が一番いいですよ」と答えると思います。

お薦めする理由

油彩絵具は「編集力」に長けているから、最も素直な描き方が可能です。

下の色を隠す力が大きいし、いくらでも上へ上へと塗り重ねていけるから、描いたり消したりが自由自在。これはとても重要です。普通、絵は、始めは大まかに、そして、次第に詳細に描くでしょうし、色なんかも取りあえずで塗っておいて、進行に合わせて調整。あるいは、一旦描いたものを消し去ったり。こういった「切った貼った」が容易だからこそ、油彩絵具は使い易いです。

乾くまでの時間が長いのも重要なポイント。キャンバスの上に置いた絵具が長時間柔らかいままですから、後から別の色を画面の上で混ぜ合わせる事で、ボカシグラデーションを描くことができます。これも頼もしい編集力だと思います。

さらに油彩絵具には、多様な描き方ができるという特長があります。平滑に塗ってもいいし、荒々しく筆跡を残したり、盛り上げたり(インバスト技法)。砂を混ぜるなんて事も。また、透明水彩絵具と同様に、下の色が透けて見えるように絵具を重ね塗りたりもできます(グレーズ技法)。

描きやすいだけでなく、できあがった絵が鮮やかで力強い発色を得て貫録ある存在感を見せてくれるのも素晴らしいです。それに、具象画でも非具象画でも様々なスタイルの絵にも対応できる間口の広さもあります。

迷信を切る

油の使い方など高度な技術を憶えなければならない?

昔は、混ぜてはいけない色の組合せとか、使う油の順序とか、様々なお約束を学ぶ必要があったようです。科学が進歩した今は、チューブから出して筆につける。それだけ。特別、難しい技はありません。

油が臭い?

水性油彩絵具
チューブの中には匂う油が入っていないので、絵具自体にほとんど匂いはありません。臭いのは、解き油筆洗い油です。しかし、共に匂わない物が販売されていますから、気になるようでしたらそれを使えばOK。さらに、水性油彩絵具(ホルベイン社から販売)で、水だけを使って描く方法もあります。

最後に

昔から日本には「油絵至上主義」があって、「油絵画、偉い」みたいな風潮が未だ見受けられるようです。それはどうでもいいのですが、それがために「油彩画は高尚」と思い込んで尻込みしている方がいらしたら残念だと思い本稿を書きました。

油彩絵具は、本格的な画材でありながら、始めるのが簡単。気軽に手に取ってもらいたいと思います。

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