2023/05/25

もうパレットは洗わない―紙を敷けばいいじゃん

A696 Ai Yusuke
一日の仕事が終わったらアクリル絵具がこびり付いたパレットを洗わなくてはなりません。ちょっと面倒。良い方法を思いつきました。

パレットの上に、紙を敷くだけ。白い紙ならベストです。防水とか特別な性能は必要ありません。プリント用紙(の故紙)が最適です。

この紙の上にチューブから絵具を出してナイフや筆で混ぜたり練ったりするのですが、紙が破れたり綻びたりすることはまずありません。普通にパレットとして使えます。そして、一日の仕事が終わったら紙を捨てるだけ。

ただし、水をたっぷり使う方は、紙がふやけて使い心地が悪いかも。はでな図柄が気にならない方は、チラシでどうぞ。あ、紙が動くのが気になる方は、2-3か所をテープで留めてください。


2022/11/26

抽象画のための「3大技法」とは

抽象画を描くのに使うと便利な技法として、次の3つを挙げたいと思います。

  • レイヤリング (layering) 解説
  • マーク・メイキング (mark making) 解説
  • テクスチャ (texturing) 解説
これらの技法を使えば、『らしい抽象画』が容易に描けるはずです。

2021/09/21

iPadをお絵描きに活用する―試行錯誤をiPadで

A644 Ai Yusuke
絵というのは、ボードの上で絵具を塗ったり、消したり違うものを描いたりなどと、試行錯誤を延々と繰り返すことで作り上げられるが普通です。

なぜこうなるかと言えば、人間の頭脳には一枚の絵のイメージを保持してあれやこれや空でイメージ処理する能力がないからでしょう。将棋であれば、頭の中で試行錯誤ができるそうですけどね。

それなら仕方がありません。ならば、iPad上で試行錯誤すればクールではないかと考えました。

それが、Computer Aided Painting (CAP)。商標登録出願済み(嘘です)。次のような手順でやっています。
  1. ある程度進んだところで、ボード上の絵をiPadで撮影します。
  2. ペインティング・アプリ(Procreate)で、描いたり消したり、アイデアを試行錯誤します。
  3. iPad上のアイデアを参考にしてボード上の絵を描き進めます。

再び迷いが出てきたりしたら、再び上記手順での試行錯誤を行います。1枚の作品でこの手順を10回以上繰り返すことがあります。

この方法は、時間と労力(と絵具)を削減するのに役立ちます。さらに、iPad上でならより大胆に推敲ができるというメリットもあります。ただし、iPadの画面で考えるのと、ボードで考えるのとの違い、また、Apple Pencilと筆/絵具の手触りの違いが、アイデアの出方に影響するようです。でも、いずれ一方が優れているとは言えません。

追記

全部iPadで描いちゃったらどうよ:いいと思うよ。あのデイビッド・ホックニーがiPadで描いた素晴らしい作品を発表しているのを真似して私もやってみたい。しかし、筆と絵具の手触り感は捨てがたいですから。

2021/06/18

アクリル画:厚紙で作った支持体はいける

A637 by Ai Yusuke
アクリル画の支持体には、木枠キャンバス、木製パネル、キャンバスボードなどがあるけど、私はもっぱら厚紙。画材店で買った「白ボール」を裁断して使っています。

正方形のボードに描きたいのに正方形のはあまり売っていないのが自作しだした理由です。保管に便利というのもあるし、安いというのもありがたい。

厚紙ボードの作り方:

  1. 厚紙を目的とするサイズにカッターナイフで切断。
  2. 2枚を接着剤で張り合わせる。
  3. ジェッソを塗る。
貼り合わせるとき、2枚の厚紙の「目」が直交するようにすると、反りを最小限にすることができます。それでも2~3mm程度の反りはできるけど、額装するのに問題はありません。なお厚紙の目は、厚紙を軽く丸めようとしたときの反発力で分かります。反発力が強い方向が紙の目の方向です。

私はこの方法で、F0とか30cmX30cmなどなど様々なサイズの支持体を作ります。全紙サイズの厚紙なら最大F15が取れます。ただし、大きいサイズの場合、ペラペラ・フニャフニャが気になるかもしれません。額装してしまえばどうってことないのですが。

問題があるとすれば、紙ゆえの平滑な表面でしょうか。筆で塗り付ける絵具がかなり滑ります。キャンバスにはかないません。特に、下の色が見えなくなるほどの厚塗りをしたいときに困ります。でも、ドライヤーで乾かしながら2度塗りする一手間をかければOK。考えてみれば、あの高価な木製ボードに描くのと同じです。

何度も描き直したがために絵具がデコボコになった古いボードこそ宝物です。絶妙のテクスチャ―が得られます。モデリングペーストなどで予め凹凸を付けておくのも一考の価値あり。

余談ですが、段ボールはダメでした。濡れて一旦反ると戻らない強情さと、押すとすぐ凹む軟弱さが災いします。もちろん白ボールにも紙ゆえの弱さはあります。その点、防水べニア合板こそ最強でしょう。F6程度だと2mm厚で充分でした。枠のついた木製ボードと違って保管が楽だし。でも。紙のように簡単に切れません。

アクリル絵具は何にでも描ける絵具なのだから、(キャンバスに拘らず)身近な材料の中から探してみるのも面白いのではないでしょうか。

2021/04/26

配色の良し悪しは「面積」で決まる

綺麗な色のハーモニーを作るためにはどういう取り合わせが良いのか、あれこれ悩む。音楽では「和声学」という理論に基づいて音を選べば必ず妙なるハーモニーになることが保証されている。美術にもそんな理論があれば良いのだが…

それがないんだよなぁ。でも、こんな原理があるようだ。
色には「合う・合わない」の組み合わせはない。どんな色の組み合わせも「合う」。ただし、各色の面積の比が最適化されている必要がある。
つまり、どんな色を持ってきて組み合わせても良いが、面積の割合が適切に調節されていなければならない。「どんな色を持ってきても良い」と聞けば「そりゃ楽だわ」と思ってしまうが、どっこい、面積比を調整しなければならないのだからかえって難しい。

例えば、青色の背景に赤色の四角を描いた時で、色が調和していないと判明した場合を考える。この場合は次のいずれかの策を取ることになる。
  • 色を変える(形は同じまま)
    • 四角または背景のいずれか または、両方の色を塗り直す
  • 形を変える(色は同じまま)
    • 赤色の面積を増やす―四角の大きさを大きくするか、同じ色の物体を描き加える
    • 青色の面積を増やす―四角の大きさを小さくする
留意したいのは、使う色を同じにしたままでも調和させる策が存在すること。ともすると「色がおかしいな」と見て取るとすぐ色を塗り替えようとするが、そうじゃない(もちろん、色を変えた方が良い場合もある)。

極端なことを言えば、描き進むうちに面積比はどんどん変化するから調和の具合も変わっていく。結構面倒。当然のことかもしれないけど、絵の中では「色」と「形」は一体なのだと思う。

2021/02/15

お絵描きのコツ:行き詰ったら「色」を考える

描いている途中で私はよく行き詰ります。どこを変えたらいいのか、何を描き加えたらいいのか分からなくなって、バッタリと止まってしまうのです。

そういうときは、フォルムやらバランスやら「形」のことは横に置いて、「色」だけに集中するように頭のスイッチを切り替えます

色だけに集中してチェックを開始すると、描画途中だということもあって色が良くないと気が付きます。そこで「ではどうするか」を考えだすと、絵が動き出すのですね。がらっと変わることもよくあります。

以上が、膠着状態から抜け出すための私のコツです。お絵描きだけではなく何事も視点を変えて眺めて見ることは大切ですね。

2020/08/15

アートメーターは最近元気ないんじゃない?

 アートメーターは、「『絵を描いた!』『それが欲しい!』を繋げます。cm2(面積)で価格が決まる絵のお店」のコピーで有名な絵画売買サイト。

私は6年も前から絵の販売でお世話になっていますが、最近は賑わいが少ないように思うのです。

サイトのトップに「今までの販売総面積」(㎠)が表示されています。たまたま過去の画面イメージがパソコンに残っていたので、そこにあった数字を元に売上高を推計してみました。結果は…。

  • 2016年東急ハンズが運営していたときの年間売上高は、ざっくり3000万円。
  • 運営がthisisに替わって近年の年間売上高はざっくり1500万円。

なお、売上高の半分は画家報酬として支払われますから、残りがサーバー代や梱包発送の経費と運営会社儲けとなるはずです。なお、数値は、あくまでも勘ビュータを駆使してのいいかげんなものとご了解ください(フェルミ推定)。

このように売上高は往時の半分になっているようです。さらに東急ハンズの前にカヤックが運営していたときの売り上げはもっとあったかもしれませんね。売上減少の原因は、当然、ライバル会社の台頭によるものでしょう。

しかし、ライバル会社と言っても、たとえばEtsy(米国)の売上高が800億円だったり、メルカリ(日本)が350億円だったりしますから、なかなか厳しい状況があるわけです。

そうであっても、アートメーターは絵画販売のマーケットの中で強靭なブランドを確立していますから、これからも画家と買い手の間を繋ぐ役割を担い続けてくれるものと思います。


2020/07/22

インスタグラムで一番人気の絵を消しちゃった

最近描いた作品をインスタグラムに投稿しています。これまで投稿した23件のうち下の絵が「いいね」の数で一番人気なのですが、そのことに気がつかずに絵を消してしまいました。「薄汚い絵だな」と思ってのことです。惜しいことをしました。しかし、これに人気がある理由が未だに理解できません。私の好みは、世間とずれているのか。
 【追記】その後、別の投稿がこれをはるかに超える「いいね」を集めました。どうも「いいね」の数というのは、投稿した順序とか表示位置とかに関係あるようです。「いいね」の数で何かを判断するのは愚かなことのようです。[08/30]

2020/06/03

創造的プロセスとは(成り行きに)身を任せるプロセスである

こんな引用句があった。
The creative process is a process of surrender, not control. - Julia Cameron
[拙訳]創造的プロセスとは、(成り行きに)身を任せるプロセスであって、思いの通りにコントロールするプロセスではない。 ― ジュリア・キャメロン(アメリカ人教師、作家、アーティスト、詩人、脚本家、小説家、映画製作者、鳩の愛好家、作曲家、ジャーナリスト) 
その通りだと思う。実際のところ「こうやって、ああやって」と決めてからとりかかると、うまくいかない。考えがまとまる前に手が動いてしまうぐらいが丁度良い。

関連記事 →直観的技法とは何か

2020/05/25

アートメーターで販売を再開しました

絵の販売を2年半の間お休みにしていたアートメーターに新作2点を登録したところ、早速2点ともお買い上げいただきました。お買い上げいただきましたお客様、ありがとうございました。

販売をお休みにした理由はよく覚えていないのですが、きっと「芸術上」の難しい問題を抱えていたのでしょう。その後も変わらず絵を描いていたし、直接にお買い上げいただいたこともありましたけど。

ここに「なぜ絵を売るのか」を書こうとしたのですが、予想に反して長い話になりそうなので、別の機会にさせてもらうことにします。今回は近況報告まで。

Ai Yusuke

Ai Yusuke

2020/05/19

直感的技法とは何か

直感的技法(intuitive painting)という言葉を始めて見たのは、考えに考えてもなお描き進めないことに苦悩していた頃だった。「直観で絵が描けるのならいいなぁ」と思ったが、どうすれば直観を働かせるのか見当もつかない。座禅でもするのか。

2020/04/10

お気に入り画家:バスキア

The Strokes "The New Abnormal"
Apple Musicの画面を眺めていたら、やけにかっこいいアルバム・ジャケットが目に飛び込んできました。ロックバンド The Strokesの「The New Abnormal」とのこと(右図)。

「こんなすごいイラストをジャケットに使うなんて贅沢やなぁ」と思いつつ、目が離れません。調べて行くとこれはあのバスキア (Jean-Michel Basquiat) の作品と判明。どうりで凄いはずだわ。

彼の作品はどれも描き殴ったような筆致なんだけど、非の打ち所がないバランスがあります。じっと見ていると気持ちが落ち着いてくるよう。貫禄です。しかも、目を楽しませてくれるオブジェクトがいくつも散りばめられていて、見飽きません。何十億円での落札も納得。凄い人だったんですね。1988年に27歳で没。

2020/04/03

使用感想:オイルパステル

アクリル絵具とのミクストメディアに使うことを念頭に、私が使ったことのあるオイルパステルの4ブランドの感想を書いてみました。

カランダッシュ ネオパステル

ほどよい硬さ(柔らかさ)で様々な使途に対応できるオイルパステル界のスタンダード的存在。世界中で多くの画家がミクストメディアに使っています。全96色。

私の手元にある10年前に買ったスティックがたくさんあるのですが、それらは塩を噴いて表面が真っ白。オイルパステルの主成分であるワックスから滲み出て来た油が析出したものでしょう。しかし、問題なく使えます。使えますが、硬くなっているため、描画するとき出るカスが多いのが困ります。やはり、出来立てが良いようです。店頭で塩を噴いている品があるので、よく見て買いましょう。

2020/03/29

ミクストメディア(アクリル絵具+オイルパステル):バーニッシュ

アクリル絵具とオイルパステルのミクストメディアで描いた絵が完成したらどうすればよいかについて書いてみます。

オイルパステルは永久に乾かないので、そのままでは埃が付きやすいし、他の物を汚したりします。そこで…

2020/03/23

ミクストメディア(アクリル絵具+オイルパステル):基本編

オイルパステルはラフな塗り跡や、ソリッドでカジュアルな線が魅力の画材。これをアクリル画にも活かせないかと思ったとき、誰もが不安に思う疑問:
「水」と「油」とを一緒に使って大丈夫? 
について書いてみます。結論から言えば、全然大丈夫です。

2020/01/17

アクリルガッシュは貧者のカドミウム・レッドたりえるか

適度な透明度があるアクリル絵具は、下の色を活かした塗りにも、下の色を覆い隠す塗りにも綺麗に対応してくれます。しかし、たとえば赤や黄など、下の色に影響されやすい色を塗る時には注意が必要です。私は次のような対応策を使っています: 
  • 塗っては乾かすを塗膜が厚くなるまで繰り返す(ドライヤー使用) 
  • 一旦ホワイトを塗る。 
  • 高価で有害なカドミウム・レッド(カドミウム・イエローも同様)を使う。 
カドミウム・レッドを使うのが一番スマートですが、できれば避けたいところ。そこで、「隠蔽力が強い」と宣伝しているアクリルガッシュの赤(黄も同様)を買ってきました。結果は、確かに濃い。カドミウム・レッドのように下の色に打ち勝って発色してくれます。

2019/12/28

お絵描きは健全な肉体から

Ai Yusuke A504
この1年、絵が描けない大スランプの中にいました。スランプから脱出するべくあれやこれや苦心を重ねても甲斐なしだったのに、ここにきてなにやら筆の運びがよくなったではありませんか。

描けなかったのはどうも体調不良が原因だったみたい。元気になれば難しいことを考えなくても筆は進むものです。

根性は役に立たないですね。集中さえできなければ何事も捗るのとちゃう? 集中を手に入れるためには、体調不良みたいな余計なものを頭の中から取り去らなければならない、ということ。



2019/10/11

アクリル絵具TIP:すぐに消せる「当たり」を描く方法

Ai Yusuke
アクリル絵具またはアクリルガッシュで描いている場合で、絵のど真ん中に重要な線を引く段階になったとします。失敗したら面倒なことになりそうで、緊張してなかなか手が動きません。鉛筆で当たりを引きたい気持ちになるのだけど、鉛筆の線が残ったりすると面倒だし…。

そういうときに便利なノーベル賞もののアイデアを思いつきました。水彩絵具など水に再び溶ける画材で当たりを引くというのはどうでしょう。

こうやって引いた当たりは、乾いてしまっても水を含ませた筆で軽くこすった後、ティッシュペーパーで拭えば簡単に消せます。ただし、後から塗るアクリル絵具と混ざって干渉しないよう、同系色の色を使うとか、極力量を少なくするとか考慮するべきかもしれません。

透明水彩絵具ガッシュが使えますが、水で再溶解するマーカーなどがもしあれば使えそうです(ありますかね?)。私は、耐水になるポスカも「不要な部分はすぐに水で拭いとる」として当たりに使うことがあります。消すのが困難だから鉛筆は使わないですね。

2019/07/27

NHK-TVの「あなたのメロディー」を覚えていますか

昔話をさせてください。もう30年も前に終了したのですが、視聴者が譜面で応募した歌をプロの歌手が歌い、作詞・作曲の出来を競う「あなたのメロディー」という音楽番組がNHK-TVにありました。20年間も続いていた人気番組でしたから、当時、生を受けていた方ならきっと覚えていると思います。

いえね、私の歌が採用されて、番組に出演したのを思い出したのです。歌ってくれたのは当時デビューしたての杏里さん。司会は、神津善行さんでした。

2019/06/29

作品をお買い上げいただきました

ブログに掲載している新しい作品の中から1点をお買い上げいただきました。アマチュア画家にとって絵が売れるのは飛び上がるほど嬉しいものです(プロなら尚更?)。

お買い上げくださった方が、額装した写真を送ってくださいました。素晴らしい。